生保大手が 「フィンテック保険」 を開発  AI ・ ビックデータを活用した保険が登場

データ収集・分析を保険商品に反映させる 「フィンテック保険」 に生保大手が着手

 

4月26日、第一生命ホールディングス (以下、第一生命) など、生命保険大手が人工知能 ( AI ) やビッグデータを活用した 「フィンテック保険」 の開発を進めていると、日経新聞が報じました。

 

生保にフィンテック  AI ・ビッグデータ駆使 第一生命、糖尿病向け開発 住友生命、健康に応じ負担 (4月26日)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15746740V20C17A4EE9000/

 

 

第一生命、糖尿病患者の電子カルテを分析。治療プログラムに合わせた保険の開発を目指す

日経新聞の記事によれば、第一生命は日本 IBM による AI 型コンピューター 「ワトソン」 を使用した実証実験を開始、藤田保健衛生大学と共同で糖尿病患者向けの保険商品開発に着手しているといいます。ワトソンテクノロジーは三井住友銀行やみずほ銀行のコールセンター業務に導入されており、ビックデータ分析などの技術によってユーザーからの質問応答候補を瞬時に挙げることができるものとしています。

今回、第一生命はワトソンを活かして、6万~7万人にも及ぶ糖尿病患者の電子カルテをデーターベース化、解析した結果を今夏にもまとめる方針であるとしています。これによって各人の体格や症状、生活習慣などをきめ細やかに分析し、効果的だと思われる治療方法や引き起こす危険性の高い合併症を導き出します。そして、その結果に基づいた治療プログラムと合わせた保険商品を開発していくものとしています。

世界的にも患者数や医療費の増加が問題視されている糖尿病。厚生労働省の発表によれば、国内患者数は316万6,000人医療費は年間1兆2,196億円にものぼるとされています。同社は糖尿病に対応した商品を開発することによって、病気の発症や重篤化のリスクを予測、適切なタイミングで健康指導や治療を行えることを目指しています。そして、国民の健康状態での寿命を伸ばし、国の医療費削減に貢献していく考えを示しています。

 

住友生命、日々の健康増進をデータで取得。活動状況で料金が変化する保険を発売予定

ファインテック保険の開発は第一生命だけに留まらず、その他大手生命保険会社にも広がっています。住友生命保険相互会社  (以下、住友生命) は、腕時計型のウエアラブル端末などの活用によって顧客の健康を把握、それぞれに状況に応じた保険料設定を行う商品の開発を進めています。

同商品は日々の食事や運動に関するデータを取得し、個人の健康状態や活動状況を確認した上で価格を決めるものです。たとえば、スーパーで野菜を購入したり、スポーツジムで運動を行うなどすると、健康増進への取り組みを実施したとして4~5段階で評価され、それに応じて保険料が安くなる仕組みとされています。商品化がされれば食事療法や運動療法が促進され、病気の症状改善や発症・合併症予防にも繋がるものと期待が寄せられています。

住友生命は同商品の発売を2018年の夏を目途に予定しています。今後は健康増進に関係するスーパーやスポーツジムとの提携を視野も入れており、病気の悪化を未然に防ぐ新たなかたちの保険として注目が集まりそうです。

 

 AI ・ビックデータ活用で商品内容を差別化。保険業界にデジタルが変革を起こすか

「インシュアテック」 や 「インステック」 とも称されるフィンテック保険。その呼称を生み出した第一生命においては、昨年の1月に部門横断の専門チームを立ち上げ、開発に本腰を入れ始めました。

 

第一生命グループでは、2016 年1月より、お客さまの一生涯に寄り添った 「確かな安心」 と 「充実した健康サポート」 のご提供を更に強化すべく、生命保険事業のイノベーション創出に向けて、昨年より “ InsTech (インステック) ”  の取組みを開始しております。この取組みでは、他業態と連携したエコシステムの実現等も視野に、外部の知見やデータ、アイデアを活用しながら、生命保険業界全体のイノベーションをリードしていくことを目指しています。 (引用出典:第一生命 公式リリース

 

また、住友生命においても上記の商品開発に向けて南アフリカの保険会社ディスカバリーやソフトバンクと提携を結ぶなど、計画的に施策を進めています。
その背景には、米 Oscar や仏アクサ、独アリアンツなど、欧米ではすでに歩数や運動状況といったデータを保険料に反映させる商品が実現していることにあります。大量の情報を保有している点から、金融のみならず保険業界も AI やビッグデータ活用の余地があり、海外と比較して出遅れた日本で今後の展開が急がれるものと考えられています。

生命保険は健康状態によって加入の可否がわかれる商品です。病気の症状段階を AI ・ビックデータで詳細に解析できるようになれば、病気を発症していても加入できる可能性が高まり、ユーザーの選択の幅も広がります。保障内容だけでは競合他社との差が出にくくなった今、デジタルの力を存分に活用した新たな保険の誕生が予想されています。