ファーストリテイリング、デジタルでユニクロの再成長を目指す。 「情報製造小売業」 への進化とは

ファーストリテイリング、2017年第2四半期決算を発表。昨年は業績の低迷を報告

 

4月13日、株式会社ファーストリテイリング (以下、ファーストリテイリング) が第2四半期決算を発表しました。

 

ファーストリテイリング 2017年8月期 第2四半期決算サマリー (4月13日) 
http://www.fastretailing.com/jp/ir/news/1704131800.html

 

一年前の2016年8月期第2四半期決算では、国内ユニクロ事業が売上収益 4,536 億円 (前年同期比0.2%減) 、営業利益 641 億円 (同 28.3%減) と、計画を下回る業績を報告しています。

 

 

 

国内ユニクロ事業は0.3%増の横ばい。再成長を目指してデジタル施策を導入

そして2017年の国内ユニクロ事業の業績は、売上収益は4,551億円 (同0.3%増) 、営業利益687億円 (同7.3%増) と、わずかに盛り返して減収は避けたのものの、横ばいの数字となっています。昨年行った値上げ戦略から顧客離れを起こしたため、その後の商品価格を上げることができず、売上が伸び悩んだものと見られています。

しかし、業績の低迷はユニクロだけでなく、その他大手アパレルも同様に見られています。ブランド同士の過剰な競争や原材料の高騰を受け、 H&M や Forever 21 などの同業者も不振に陥っている状況です。また、ネットを利用する購買層の変化に対応しきれていなかった、好調時の勢いに乗って店舗を拡大しすぎた、といったことも不振を招く原因になったといわれています。

ファーストリテイリングの売上構成比の約4割を占め、営業利益では5割にも及ぶ国内ユニクロ事業の低迷は、同社にとって早急に解決すべき問題であったといえます。そして、わずかに改善したとはいえ、不振を脱却し再成長に向かうために、ファーストリテイリングは 「デジタル」 を鍵とする施策を行う方針を示しています。業績から見ても、2016年 E コマース売上は 253 億円 (同 28.4%増) と好調な数字を見せており、売上構成比を5.6%へ拡大。2017年も売上収益282億円 (同11.7%増) 、売上構成比は6.2%まで成長しています。

 

製造小売業からユーザーの求めるものだけを作る 「情報製造小売業」 へ

値上げ対策とは別の方法で成長を目指すことになったファーストリテイリングは、現在 「有明プロジェクト」 と銘打った全社的なビジネス改革を進めています。これは同社における成長の原動力となった、衣料品の企画や製造、販売に至るまで一貫して手掛ける 「製造小売業」 とデジタルの融合を目指したものだといいます。ユーザーの求めるものをデジタルによってリアルタイムで把握し、スピーディに商品化、いち早く手元に届ける 「情報製造小売業」 への進化であり、 「作ったものを売る」 というスタンスから 「ユーザーの求めるものだけを作る」 というビジネススタイルの変革でもあります。

業務のすべてをデジタルで一元管理するために AI を駆使した情報プラットフォームを構築、ユーザーの意見を集約・分析することで彼らが欲している商品を割り出します。そしてその情報をもとに商品の企画から生産、販売を一気貫徹で行います。また、それらデータは工場や物流、店舗にも流れ、共有されることで在庫になってしまう商品をなくすことにも繋げていきます。

情報製造小売業の実現に向けて、同社内ではすでに組織改革やシステム改革が始まっており、2年以内に完遂することを目標としています。

 

今春に EC サイトを刷新。今後は AI コンシェルジュサービスの上陸が予想される

同社はこの変革の先駆けとして、3月にユニクロのスマホ向けの EC サイトを大幅に刷新しました。 「手のひらサイズの “ 世界最大のユニクロ” 」 と称し、すべての操作が親指の範囲内で可能になるレイアウトを導入しています。また、雑誌やインターネットに掲載されている服の画像から、似たユニクロ商品を検索できる 「イメージサーチ」 など、直感的に購入できる機能を追加しました。その他、セブンイレブンをはじめとする大手コンビニでの商品受取を24時間いつでも可能にしたり、店舗に在庫がなくてもその場でオンラインストア購入・店舗支払いができるなど、全国規模で新しい体制を敷いています。

今後は米国で実証実験が進められている AI コンシェルジュサービス 「 UNIQLO IQ 」 が日本に上陸するものと予想されています。これによって、 EC サイトで欲しい商品などについて AI コンシェルジュがチャット感覚で答えてくれるようになるとしています。

今春より本格稼働した物流施設と一体型のオフィス、 「有明社屋」 を基点にしてデジタルとの融合を進めるファーストリテイリング。ユニクロの 「情報製造小売業」 への進化に注目が集まります。