トヨタ、「トヨタウェブパスポート」ほか、自社サービスの顧客ID統合。顧客情報共有でサービス向上を目指す (1)

トヨタ、ネットID統合でデジタルマーケティング施策を加速

日本最大の自動車メーカーである 「トヨタ自動車」
“モノづくり日本”を代表するグローバル企業であり、その高い技術力と販売力で世界に名だたる企業の一つとして知られています。今回から3回に渡って、トヨタのデジタル施策についてフォーカスしていきます。

同社では2015年以降、デジタルマーケティングに注力していく姿勢を見せています。
まず2015年度、国内市場におけるデジタル関連予算を、前年比で200%以上に増額。旧来のマス広告とは別に、ネット広告や動画広告に投じる予算を増額し、戦略的にデジタルマーケティング分野を強化しています。

3月30日、このトヨタが展開している主要インターネットサービスの顧客IDが統合されるということを、日経新聞が報じました。

トヨタ、ネットID統合 購入から点検、きめ細かく  (2016年03月30日)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO99031700Z20C16A3TI5000/

 トヨタ自動車は2019年までに、国内の主要なインターネット関連サービスの顧客IDを統一する。現在はサイトごとに個別のIDを付与しているが、統合により車購入の検討段階からメンテナンスまで一貫してきめ細かいサービスを提供しやすくする。販売店とも情報を共有し、業務の効率化にもつなげる。

 

ID統合で事業を横断した “オールトヨタ” でのサービス展開を目指す

同社は、 「TOYOTA Web Passport」 という会員システムでユーザーを管理しています。この 「TOYOTA Web Passport」 に登録することで、メールマガジンの購読、TWPポイントサービス、コミュニティサービスなどが利用できるようになります。

今回の統合で、この 「TOYOTA Web Passport」 だけでなく、カーナビゲーションサービスなどを行っている 「T – Connect」 、トヨタ公式カー用品・カーアクセサリ通販モールの 「ハピカラ」 など、同じIDで利用できるようになります。さらには、ローン関連など他のIDとの統合も視野に入れるということです。顧客の了承を取った上で、顧客情報を販売店にも共有していくということで、デジタルマーケティング施策をリアル店舗と共有し、顧客サービスの向上を目指しています。

現在、国内で保有されているトヨタ車は2000万台程度。 「TOYOTA Web Passport」 もID保持者も延べ数百万規模ではないかと見られています。
このID統合により、顧客の購入履歴、行動履歴の分析が可能になり、Webサイトでチェックしていた車種を販売店でおすすめしたり、顧客が購入した車種に合うカー用品をレコメンドするなど、事業を横断した “オールトヨタ” でのサービス提供が目指せるようになります。

 

業界に先駆けて推進するデジタルマーケティング強化の道

 

このID統合という施策は、マーケティング上で非常に高いメリットをもたらします。一つのユーザーIDを複数のサービスで共有することでユーザーの行動を一元で把握でき、大戦略に基づいて、サービスをまたいでのマーケティング施策を実行することができるようになります。

ID統合を実行するまでに、2015年以降、同社は順を追ってデジタルマーケティング分野の強化を重ねてきました。

まず第一弾として、2015年7月1日付でグローバル市場向けのマーケティングを統括している戦略子会社 「トヨタモーターセールス&マーケティング (TMSM) 」 をトヨタ本社に統合し、組織面の強化を図りました。その上で、マーケティング戦略や営業戦略の企画・立案はトヨタ本体が行い、その戦略に基づく個別・具体的な施策は子会社であるトヨタマーケティングジャパン (TMJ) が行うという体制を整えています。

トヨタ自動車、トヨタモーターセールス&マーケティング (TMSM) 、トヨタマーケティングジャパン (TMJ) 、マーケティングやモータースポーツ活動の強化に向けての再編に合意
TMSMはトヨタへ統合、TMJのモータースポーツ機能もトヨタに一本化
 (2015年03月04日)
http://newsroom.toyota.co.jp/jp/detail/6623956/
さらに、プライベートDMP (データ・マネジメント・プラットフォーム) を自社開発し、トヨタ独自のデータ活用を進めています。コーポレートサイト 「toyota.co.jp」 や製品サイト 「toyota.jp」 などへの来訪者の属性データ・閲覧データなど、社内外のデータを集約。このデータを分析し、自社の製品への関心を高めることや購買に繋げられたかなどの効果測定を実施していくといいます。さらにはこのDMPにマーケティングオートメーション (MA) 機能を持たせることで、Webサイトに表示するコンテンツや配信メールなども、各ユーザーの属性や行動に合わせてパーソナライズし、最適化していくことができるようになります。

これらの道筋をたどり、トヨタは “ID統合” という、事業を横断した施策を打てる体制を作ってきたのです。
そして、統合したIDをこのプライベートDMPで管理することで、トヨタは事業を横断した顧客データの一元管理を可能にし、ビッグデータをマーケティングに生かすことができるようになります。

これまで、日本企業は “モノづくり” のみに重点を置き、 “マーケティング” 、 “デジタルマーケティング” 分野には弱いと言われ続けてきました。しかし、今や日本だけでなくグローバル企業として業界を牽引するトヨタ自動車がデジタルマーケティングの一層の強化に取り組むことで、異業種含めた他の事業会社のデジタルマーケティングへの取り組み推進も加速化すると予想されます。

 
 
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