イメージを具現化する「ビジュアライゼーション」メソッドで磨く、実現力とは 【長澤 宏樹】

デジタルマーケティング業界および広告業界に特化した人材紹介会社、ウィンスリー。コンサルタントの個性が多彩であることも魅力のひとつ、と候補者の方々からコメントをいただくことも多いのですが、新たな仲間となった長澤 宏樹コンサルタントも実にエッジの立ったキャリアを築いてきた一人。<詳しいキャリア遍歴はこちら

人生の転換期に訪れた意思決定の局面や、独自に築いた自己分析のメソッドを聞いてきました。転職活動をする際に欠かせないにも関わらず、多忙すぎるビジネスパーソンがにわかづくりの 「自己分析」 に逃げないためにできることとは?

_MG_7449
長澤 宏樹コンサルタント。柔和な笑顔の裏に、人一倍の努力で築いてきた個性的なキャリアが見え隠れする

長澤 宏樹 (ヘッドハンター/デジタルマーケティングカレッジ講師)
慶応義塾大学 環境情報学部卒。 博報堂グループにおけるデジタル領域のインタラクティブコミュニケーションデザイン会社、博報堂DYインターソリューションズの設立に参画。クリエイティブ・ディレクターとして東京インタラクティブワードや電通賞をはじめとする数々の広告賞を受賞。2012年、アロハ・ブランディング合同会社を日本に、子会社 Aloha Branding Hawaii Inc.を米国に設立し、枠にとらわれない自由な働き方を実現している。

著書に、”思いが伝わる! 心を動かす!アイデアを「カタチ」にする技術(総合法令出版/2015)

適正に気づき、「得意なことを突き詰める」ことが自己実現への近道と知ったキャリア前半戦

_MG_7286
やりたいことを職にできるまで、黙々と努力を重ねた。

社会人になって最初にした、かつ初めての重大な意思決定は、新卒で入ったシャープ株式会社を辞めると決めたとき。この決断は大きかったですね。実を言えばそもそもが、入社式で「何か違う」と感じたんですよね。思えば退職までの数年間、この直感が払拭されることはなく、むしろその違和感を「やっぱりな」と認める日々だったかもしれません。入社を決めたときは、「日本のコンテンツをつくりたい」、もっと言えばいつか「映画をつくりたい」 という思いがあり、それならば日本らしいものづくりの企業で経験を積みたい、と思ったのです。私の入社した時代というのは、シャープも絶好調な時期。今でこそ国産PC市場は衰退の一途ですが、PCブランドの 「メビウス」 やPDAツールとして人気を博した 「ザウルス」 などのシャープの代名詞とも言える製品が全盛期を誇った頃です。

「日本発の優れた製品を製造している企業でコンテンツ・メイキングの礎を拓きたい!」 という思いこそありましたが、現実の仕事はイメージとはまるで違っていたんです。まあ当たり前と言えば当たり前で、特に入社して数年のうちは誰だってやりたい仕事をさせてもらえるはずもなく。もともとルーティン業務とか流れ作業ができない性質だったのですが、従事するのは工程のなかの一部分。形として残していくことが性に合っているのに、いわゆる流れ作業の1パーツでやっていくということがどうしても無理でした。ここで初めて自分の弱点を意識することに。

最終的に3年目で転職するのですが、この頃に今につながる基礎を築いたと思います。悶々と過ごした日々のなかで、「本当にやりたいこと」に手を伸ばすために今の自分で闘えるのか?を自問すると、足りないことがあると感じ始めました。そこで、日中、会社の仕事を終えてから、夜な夜なPCで編集作業の練習を始めたのです。PCと言っても、当時100万円くらいしましたから、まさに退路を断った投資でした。聞く人もいなかったし、自分のクリエイティブな鍵を拓く作業だったので、とにかく独学でコツコツと、来る日も来る日も練習していました。その後、映像作家として自立を果たしたり、大手広告代理店でも自分らしいポジションを確立できたり、夢だったハワイへの移住も果たすことになりますが、ブレークスルーのカギは「得意なことを突き詰めてきたこと」 。それによって人生を拓いてきたのです。

「目標設定」 が大好き!ビジュアライゼーションによって着実に達成していく道のり

いつもかなり明確に目標を設定するタイプで、それを一つひとつ達成してきました。

自分の場合ですが、適正があるのに何か理由をつけて見ないふりをしても、結局そこに強制的に帰らされる出来事が起きるのです。無視しても思い出させられるうえ、年と共により難しい課題になって目の前に立ちはだかるものなんですね。それがわかったので、「あ、また転機だ」 と自覚したらその波にまずは乗ってみるようにしています。

目標設定と言えば、「毎日絵を一枚描く」 ことを続けてきたのですが、この積み重ねでハワイに住むことを決めました。ぼんやりしていたビジョンを視覚化していたのでしょうね。それで、毎日そこに近づくための絵を描き続けたわけです。この視覚化する作業、ビジュアライゼーションはイマジネーションを現実化するのに非常に役立つメソッドで、今後は候補者の特性によってはこの手法を深いレベルの自己分析とキャリアのイメージ化に用いていこうと考えています。

_MG_7176
「ログを残すのは、3ヶ月やれば習慣になる」。

他に、読書歴をブックログとして残すなど、いわゆる 「ログを残す」 ことにこだわっています。ログを残すのをおおむね200回くらい行うと、何か現実が動き始めるのです。そういうことをやり続けていると軸がわかってきます。さらに3ヶ月やれば習慣になる。このライフログノートを蓄積していくことが大事なんです。実践により浮上してきた軸が、継続によって強い骨格になっていきます。ログを残す作業は、思い込み力で本物へと変えていく力ができると経験上考えています。

ライフログノートには「長澤流」クリエイティブの芽がギッシリ!
ライフログノートには「長澤流」クリエイティブの芽がギッシリ!

私はこれを実務でも役立ててきまして、たとえばプロデューサーだった際、会社のクリエイティブチェックを毎日行ってきました。クリエイティブから本質をひも解く訓練をしていたと言えます。いつしか膨大な知見となっていて、遂には会社内で発表してくれと言われるまでになりました。また、プレゼンのときなども、本題の自社提案に入る前にそれを補完するために 「前説」 を依頼されるようになったんですね。自分のためのものだったログが、データベースの蓄積となって、それを自分なりの翻訳でコトバにして話すことは立派なアウトプットになるのだ、と知ったわけです。

「個」 の時代到来!会社の肩書ではない自己を語れる下地づくりをしよう

こうした経験を経て、今後は候補者向けなどでセルフ・ブランディングをコンサルティングしていきたいとも思っています。よりオリジナルで、より強い自己を自分でつくっていくのです。ブランドをつくるときって、最初にコンセプトをつくるわけです。私はコンセプトおたくとも言えるほどこの作業が好きなんです。まず、キーワードを紙にありったけつくっていきます。そこから一つのコンセプトを見直していく。個人のプロフィールを一緒につくりだす作業です。この考えに至ったのは、いろんな人と話してみて、会社の肩書や所属を抜いたら 「あなたは何者?」 と尋ねたとき、自分のことがわからない人が本当に多いのです。どんどん社会は 「個」 にフォーカスしていっているのに、肩書なくしては自己を語れないなんて危機感を覚えます。

私の求めるブランディングは履歴書に書くべきものとも違います。目的が先にありきで、そのステップで今、こういう会社にいる、あるいは必要なスキルを身に着けるべく修行している、というように、実現したいことに対してログをどれだけ積み重ねていくかが大事。『デジキャリ』 をご覧になっている方々は転職を意識していることと思いますが、これからどんどん組織力から個の時代へと進んでいくと思います。個が残るからこそ「人」 が大切であり、共に働く人を重視して組織を選んでいくのも大切かと思いますよ。