【事業会社による挑戦】 ファイザー(株) 金生 良太②

金生 良太

ファイザー(株)

エスタブリッシュ医薬品事業部門/GEP コア・ブランドマーケティング統括部/COE 統合マーケティンググループ 部長

2016.06.27


【事業会社による挑戦】 ファイザー(株) 金生 良太②

 

 

適切な情報と共に提供することで、化合物が “医薬品” に

 

ファイザー(株)はグローバルに展開している製薬会社です。私たちが扱っている医薬品は、適正情報を伴って初めてその本来の力を発揮することができます。

 

そのため、製薬会社にとって、化合物を薬として適正使用していただくための情報発信というのは、責務と言えます。そういう意味で、情報発信は製薬会社の根幹として、とても重要な要素です。薬の適正使用を促すために、適切な情報発信を継続的に行っていかねばなりません。

 

ただ、医療情報という分野はとても幅広いのです。医療従事者のための医療情報もあれば、一般のお客様への疾患啓発情報、それぞれの病気の症状紹介など、情報の種類も、その情報を求めている顧客像もさまざまです。それぞれの顧客に合った情報を、タイムリーに適切なチャネルで届けていく必要があります。

 

 

顧客が持つ情報取得のチャネルに最適化した情報提供を。カスタマーエクスペリエンスの改善を常に模索

 

もともと製薬会社は、 MR という医薬情報担当者が、医師を中心とする顧客との面会のなかで情報発信・情報提供をしていくというモデルでこれまで営業活動を展開してきました。しかしデジタルという新しい領域が発達した現在では、 MR による発信だけでなく、ウェブサイトなどを利用し、デジタルでの情報提供が可能となったのです。

 

今は本当に顧客が変わってきていて、インターネットを駆使した情報収集のリテラシーが非常に向上しています。「こういう情報は MR から正確なことを知りたい、またはこういう情報であれば、インターネットでわかりやすいデータを表示してほしい、あるいはこういった情報においては医師同士での情報交換をしたい」というふうに、顧客自身が情報収集のチャネルを上手く使い分けをしています。

 

このように、顧客側で情報取得のためのチャネルを選択して使い分けているなかで、私たちも顧客の変化に合わせて進化していくことが重要です。情報提供に関しては、 MR を介する対面での情報提供、ウェブサイトによる即時性のある情報提供など、それぞれのチャネルに最適化した多様な方策を模索しています。

 

そのようにして、カスタマーエクスペリエンスを時代に即したものに改善していきたいと思っています。 MR の存在も重要、ウェブサイトも重要で、どちらかに統一できるというものでもありません。デジタル、フィジカル、リアル、すべてを統合して慎重に制度を設計していき、真に顧客にとって役立つ形にしなければなりません。

 

製薬産業というのは、その製品の性格上、情報発信においても制限や規制も多い業界です。人の命や健康に関わる情報を扱う企業であるからこそ、パラダイムシフトへの対応は細心の注意を払って実施しなくてはなりません。常に何が最適であるかは変化し続けるので、追い求めるのは大変ですが、いろいろな取り組みを慎重に模索しています。

 

ファイザー株式会社 金生 良太氏

  ファイザー(株) 金生 良太氏

マーケティング部門に必要なのは組織改革にあらず。真の顧客目線を持ち、コミュニケーションを社内外で実践することで道は拓ける

 

私が率いている COE 統合マーケティンググループは、エスタブリッシュ医薬品事業部門を横断して新しいコミュニケーション、新しいマーケティングの仕組みを作る中央組織です。

 

よくマーケティングについて語られる時に、マーケティング部門が戦略を立てても、社内の組織構造が縦割りのため、横串で部門を横断したナレッジの共有や施策の実行がうまく機能しない、といったようなことが言われます。そういった言説を耳にするたびに、それは本当に組織構造のせいなのか?と疑問に思っています。

 

自分たちのコミュニケーション能力が低いために他部署との調整ができていないことや、自分たちが顧客意識を理解できないがゆえに課題解決ができていないことを、組織構造のせいにしていないでしょうか?組織構造をいじれば問題がすべて解決するというほど、簡単な話ではありません。

 

顧客のために本当に必要なのは何か、きちんと問題の根本を見極めて対応していけば、組織構造なんてイシューにはならないはずです。基本的に必要なステップを見極められていないから、組織構造の問題と捉えてしまうのです。

 

真に顧客中心主義の文化や風土を作りあげれば、組織構造を変えずとも、望むような戦略が実現できるかもしれません。どうしたら真に顧客を中心に据えた企業活動が行えるのか、真剣に議論をしていくことが重要です。

 

COE 統合マーケティンググループはブランドや製品を横断した形でマーケティングを行っていく組織ですが、その部署にいるからこそ、組織ができたからうまくいくわけではないということを、身をもって実感する日々です。組織構造の変革だけでなく、自分たちが顧客について考え抜き、ベストな施策を実行していくことが、問題解決の道筋となるのではないでしょうか?

 

 

世界 150 カ国のナレッジを共有できる外資系グローバル企業ゆえに乗り越えるべき調整事項も多数。その難問をポジティブにとらえて経験として昇華していく

 

ファイザーは世界 150 以上の国と地域で活動しているグローバル企業です。マーケティング施策においても、グローバルでの連携や調整が必要となります。私たちが今直面しているいくつかの問題というのは、特殊な例として日本だけで起こっている問題ではなく、世界各地で見られる共通の話題も多く、そのため、各国のナレッジを共有し、活用できるというのは、当社の大きな強みです。

 

また、グローバルでシナジーを出そうと思うと、日本だけの部分最適が適わないこともあります。日本発の施策を展開していく時など、グローバルでの調整が必要で、実行までの障害も多いものです。しかし、それもすべて自分の糧になるとポジティブにとらえて乗り越えています。こんなミッションを与えられた自分の幸運をポジティブにとらえなければ、やっていられない(笑) 。楽観することで多くの難局をクリアできてきたのかもしれません。

 

 

【事業会社による挑戦】 ファイザー(株) 金生 良太①

【事業会社による挑戦】 ファイザー(株) 金生 良太②

【事業会社による挑戦】 ファイザー(株) 金生 良太③

 

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