マーケター 福田 晃一 氏による “個の時代” のマーケティング論

福田 晃一

LIDDELL(株)

CEO

2017.01.16


マーケター 福田 晃一 氏による “個の時代” のマーケティング論

 

福田 晃一 氏と言えば、知る人ぞ知る 「カルチャー・ブランディング」 のカリスマ的存在。少数派の持つ類まれな価値を見出し、視点を変えて世に拡げる卓抜した手法でいつの間にか社会現象となっていく、そんないくつものサクセス ストーリーを誕生させてきました。エンターテインメントとマーケティングを組み合わせた独自の商流を築いた福田氏が、今立ち戻る自己が理想とするマーケティングの原点回帰とは?

 

LIDDELL 代表 福田 晃一 氏

  LIDDELL(株) 代表 福田 晃一 氏

社会現象にまでなった 「ギャル・マーケティング」 は、なぜカルチャーへと昇華できたのか

 

今の自分へと続くであろう最初のきっかけとなったのは、 2000 年頃から着手し進めていたギャル・マーケティングだったかもしれません。スピードが速い社会ですから、一つのポジションを獲得したギャル・マーケティングと聞いてもピンとこない人も出てくるかもしれません。けれど、今とは異なりスタートした当時はギャルに対する世のイメージは非常にネガティブなものでした。ド派手なメイクやファッションで渋谷の街を占拠し、礼儀知らず、常識知らずで手に負えない…というような (笑) 。

 

たとえば今言ったイメージが世の多数派オピニオンだとすると、いや待てよ、でも彼女たちにしかない圧倒的なパワーが確かにある。トレンドへの俊敏な反応や目利きだとか、その伝播拡散させていく独自構造を持つコミュニケーションのネットワークだとか、そういったことを可視化させながら仕組み化していき、彼女たち自身が主体的となればなるほど世間へ浸透していくというマーケティングを実践しました。必須だったことは、本人たちが自ら動きたい!というパワーを活かすことであって、決して 「舞台を用意するからここで踊ってくれませんか?」 という関係性にはならなかったこと。

 

エネルギーと発信力、伝播力に強みを持つ対象者たるギャルと、こちらは意志ある方向性に基づく物語を推し進めていく。そんな関係でした。ですから当時の重要ミッションは 「いかにして世間の話題になるか」 です。そのため一つでも多く 『ヤフー トピックス』 に取り上げてもらうことを目指した話題づくりを仕掛けていました。仕事の進め方も当時、いわゆる 「大人」 の方々にずいぶん驚かれましたが、営業部署を設けずに 「ヤフー トピックス=営業活動」 と考えていました。話題づくりのための経費と営業担当を一人雇う人件費を考えると、その後の波及効果を予測しても費用対効果が高いのは間違いなく話題づくりの方ですから。ただ、僕たちが独自だったとするならそれは、仕掛けや話題づくりを行うだけではなく、それらがすべて一つの価値へと収束していくことで生まれる文化、カルチャー・ブランディングを標榜していたこと。トレンド創出だけに終わらず文化としてまで高められていくことを目指して事業を行っていました。

 

 

人の心を動かすのは余韻と余白。本質を見る努力が、マーケターとしてのセンスを培った

 

キャプション

  社会のエッジに視点を向けて市場創出をしてきた福田氏、あくまでもその物腰はおだやかでソフト

 

そうした、トレンドがカルチャーにまで昇華する際に重要となるファクターの一つにエンターテインメント性があると考えていますが、エンターテインメント自体をどう定義するか?によって少し受け止め方が変わってしまう難しいテーマでもあります。エンターテインメントの要素があるからこそ、人を引きつけることができる。だから僕が思うエンターテインメントとは明確に言葉で定義できにくい、まさに人の心の機微によるものだと思います。だからこそ自分の心が動いたときには、それに 「なぜ感動したのか?」 、 「なぜ面白いと思ったのか?」 などというように、その部分に徹底して深く向き合って追求するようにしています。

 

では、そうした意味でのエンターテインメントを創造するのに必要欠くべからざる要素は何か?と言えば、それは “余韻” だと考えています。全部こちらで考えてしまって、すべてを揃えたうえで 「これでどうだ!」 と予定調和の感動方程式を提案するのではなく、あくまでも受け取める側が感じ考えることができる “余白” を残すこと。その余白が余韻となり心が動くことだと思っているんですよね。

 

マーケターというのは生まれ持ったセンスで活躍する方も多いことと思いますが、僕自身はそんなにセンスがある方ではないと自認しています。仮に先天的なセンスのようなものが 30 %…、いや、 20 %ほどあったとして、その 20 %を起点にあとの 80 %は独力で身に着けた後天的なものです。

 

 

40 歳を前にスタートした若手育成塾。自分が手にしてきたものを継承していきたい

 

ビジネスを推進していくうえで重視しているのは 「本質を見る」 ということに尽きます。抽象的なワードで煙に巻くのではなく、常に 「楽しいってなんだろう?」 、「この何が人を引き付けるのだろう?」 ということに向き合っています。さっきも言いましたが、僕のスタイルは地道に独学で身に着けたものに因りますが、目先の業務にとらわれず 「なぜこれをするのか?」 、 「これで本当にいいのか?」 、 「もっといいやり方はないか?」 と、常に 「なぜ」 という問いかけと 「これではだめだ」 と否定を繰り返すことによって磨きぬいた今があると言えます。企画立案の際、仕上がったなと思ってもプレゼン前に一度その案を思い切って否定してみる。そして否定しようがないところまで考え抜かれた状態で提案をするという。一度出した答えに安心して磨きあげる労力を惜しむことは、最終的に自分が満足できないのです。

 

以前から 40 歳を目途に自らでビジネスを推進するのではなく、継承フェーズに入ることを目標としてきました。 20 代前半くらいの若く面白い人たちにビジネスとは何か?みたいな本質的なことから教えていきたいなあと。それで、ちょっと予定よりは早まりましたが、若手経営者を 12 名ほど集めて、カジュアルな経営塾のようなものを始めました。塾生はみな僕が 「コイツ面白いな」 と感じた、個性的で意欲あるメンバーです。なんかこう、何はなくともやれIPOだの、いくら資金調達できただのということしか目の前にないタイプの人が苦手な方でして (笑) 。真にやり抜くべき何かを持った、必ずやり遂げることを自分に誓っているメンバーに、僕流のビジネスの在り方を本質的な部分から教えていきたいと思っています。

 

 

個人が発信する情報が社会を動かす “個の時代” に適したプラットフォームを構築すべき

 

現代は、やはり “個” というのがキーワードの一つだと思います。今ってフェイスブックにインスタグラムにツイッターなど、個人が 3 つくらいのパーソナルなメディアを自分で運営している時代です。それらは企業が運営しているメディアよりもずっと面白かったりしますよね。加えて、個人のこだわりが詰まったマーケットインの発想でつくられた商品の方が高い支持を獲得したり。たとえば、あるインフルエンサーが 「自分が欲しいと思うもの」 にこだわって商品開発を行い、それをインスタグラムで広告して販売していくなども可能な時代です。やろうと思えば最初から最後まで個人で完了できてしまう時代ということ。こういった時代だからこそ、インフルエンサー マーケティングを行う当社としては、制作から販売まで一貫して行えるようなエコシステムを構築していかなくてはなりません。

 

 

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