「出世 = 管理職になる」とは限らないらしい

—プロ野球の監督はみんな、昔活躍していたプレイヤーだった。—

小さい頃にこの事実を知って、不思議に思ったのを覚えています。
確かに言われてみれば、プレイヤーとして活躍した人がいい監督になりそうな気もします。
でも、みんながみんなそうじゃないだろう、とも思っていました。

それからちょっと大人になって、やっぱり同じような疑問を持ちました。
私には社会の仕組みが、こういう風に見えました。

  • レベル1 : 現場の人
  • レベル2 : 現場の人のリーダー
  • レベル3 : リーダーのリーダー

でも、こういう人もいるんじゃないかと思いました。

  • レベル1 : 現場の人
  • レベル2 : すごい現場の人
  • レベル3 : とんでもなくすごい現場の人

 

私は後者の道を歩みたいと思っていたので、「やっぱり管理職にならないと評価してもらえないのかな」という不安を勝手に抱えていました。

「自分の所属する組織の雰囲気 = 社会の文化」という誤解

新卒で今の会社に入社して、「なるほど、社会とはこういうものなのか」と、社会というものについて少しずつ理解していきました。
部長のことを「◯◯さん」と呼んでいい組織と、そうじゃない組織があること。
仕事というのは募集要項みたいなものができる前に、もっと捉えどころのないところで生まれていること。

どんなしっかりしたウェブサイトもアプリも広告も全て、自分と同じように感情を持った生身の人間によって作られていること。

それらと同じように、「出世する」と「管理職になる」はかなり重なる概念らしい、というのも私の理解の一つでした。

会社内の組織でも、社外の人と関わるプロジェクトの体制でも、「偉い」人は直接手を動かさない立場にいるように見えました。

また、話を聞いてみると、偉い人たちも、偉くなる前は現場で活躍していたようでした。
プロ野球と同じ原理ですね。

それで私は、「なるほど、出世とは管理職になることなのか」という理解を持っていました。

しかし、私は経験の浅い新卒社員。
視野が狭い。
それはそれは狭い。

私の言う「社会」とは、「自分が新卒で入社した会社、関与したプロジェクト」という、ごくごく限られた組織のことでした。

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その時一番の問題は、自分の視野が狭いことに気付いていなかったことかもしれません。

だから、「ああ、社会はなんて画一的なのだ。おお、生きづらい世の中」と、勝手に誤解して勝手に嘆いていたんじゃないかと思います。

“Programmer? Cool!” な雰囲気

視野が狭いということは、見えていないことがあるということです。

私は、「管理職にならずに評価される文化」が見えていませんでした。

たとえばプログラマーという職種。
この「直接手を動かす仕事」は、ものすごく誤解を恐れずに書くと、日本では地位が低く見られがちです。

「日本ではプログラマーの地位が低い」という話を耳にしたことがあったので、カナダ在住のプログラマーに話を聞いてみました。
すると、日本とはプログラマーという職種への評価がかなり違うようでした。

日本の平均的な会話を以下のようだとします。
プログラマー「私はプログラマーです」
日本の人「あ、そうなんですねー」

その時、カナダではこうなるらしいです。

Programmer :  “I’m a programmer.”

Canadian guy : “Oh, cool!”

※ これはカナダ在住プログラマーの話を筆者が解釈した結果です。

(この裏には、カナダでは未経験者がプログラマーになりづらいという日本との違いなどもあるようです)

 

また、カナダでは、手を動かすプログラマーであり続けて出世していくキャリアパスも割と一般的なんだそうです。
プログラマーのみならず、専門職がキャリアを築く道も普通に整備されているのだとか。

これらの話を聞いた時の感想に、私の視野の狭さが表れていました。

「カナダ、いいなあ」

そういう雰囲気の場所は日本にも割とあるらしい

しかし、私は日本人。

日本の事情が重要です。

同じ悩みを既に乗り越えていそうな人に聞くのが良いと思ったので、いかにも活躍していそうな日本のエンジニアの方(30代)に話を聞いてみました。
すると、「手を動かす仕事を続けて評価される道も、普通にある」とのこと。

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たとえばプログラマーの場合。

コードを書く人に裁量を与える組織と、与えない組織というのがあるので、前者に移っていけば良いという話でした。
あくまで傾向の話ですが、システム系の業界は後者が多いそうです。
もしその文化に窮屈さを感じる場合は、他業界の人に話を聞いてみても良いかもしれません。
また、オープンソースで貢献することで、個人として自然に仕事が入ることもあるのだとか。
これは、プログラマーに限った話ではないと思います。
マーケターでもデザイナーでも、同じことが言えそうです。
転職することも、フリーランスになることもできますし、社外のプロジェクトに参加して経験を積むこともできます。

さらに追い風なことに、専門職としてのキャリアパスが整った会社も、だんだん増えているそうです。
「フリーランスになったら誰でも給料2倍!」みたいな話はないと思いますが(10分の1になる人もたくさんいるでしょうし)、
少なくとも「実力があるのに、管理職じゃないから評価されない」という理不尽な社会ではなさそうです。

だから、「やっぱり管理職にならないと評価してもらえないのかな」という不安は気にしなくていいみたいでした。

色々と話を聞いていたら、「好きなことをしていて大丈夫」にたどり着いた気がしました。

何か勇気付けられるものがありますね。

Illustration : Jung Bin Cho

 

〈著者プロフィール〉profile戸田
戸田 大介(とだ・だいすけ)
電通アイソバー株式会社(http://www.dentsuisobar.com/)コンサルタント。データ設計・分析の仕事を中心としながら、アプリの企画や設計なども担当。個人でもアプリ開発を行っており、宣伝費ゼロで App Store カテゴリ1位を記録している。 TOEIC900点の英語力を強みの一つとして入社するものの、同期入社社員中ダントツで最低の英語力であることに気づき、「自分にはアプリがある」と入社以来ますますアプリへの情熱を強めている。