「狂乱の時代」を経て現実が見えてきた業界、2017年総括と来年の動きとは?

間もなく2017年も終わろうかという時節。思えば今年はテクノロジーの前進だけでなく、企業買収や労働環境問題など「働く」者にとって意識が問われるシーンも多々ありました。そこで、ウィンスリー代表の黒瀬に2017年の採用市場の振り返りを聞いてきました。

絶えない「即戦力求む!」のオーダー、圧倒的人材不足の状況は継続。育成できる企業はわずか

採用シーンでのトピックスは引き続き、各社採用強化中ということに尽きます。ただ、採用増ではあるのですが今年らしい傾向というのも目立った年だったと感じます。たとえば、中途は相変わらず大手企業であればあるほど強力に求めているわけですが、当然ながら「即戦力、求む!」という動きから、あまりに人が足りないので「未経験でもポテンシャルがあれば可!」という方針の企業が増えました。可能性を持った人材であれば、仕事のなかに投じても現場で力をつけていける環境推進力のある企業に限定される話ではありますよね。一方で、いわゆる「ミドルクラスの人材を育てていける力には及ばないので、やっぱり即戦力が欲しい」というのが本音ではあるので、引き続き一定のレベル層が取り合いになっている状況は変わりがありませんでした。

第二新卒のあたりは企業が熱い視線を送っています。大手企業は、地頭の良い人材を育てる体力がありますので来年はこの辺もさらに顕著になることと思います。

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「大きな花火」に目くらましされずに、地味でも強い会社を怜悧に見極めるべし!

デジタルマーケティング業界団体全体にも熱狂の時代を過ぎて水面が澄んできた感じを受けています。これまでとにかく狂乱のなか混沌としていた状況があったと思うのですが、渦中でプレイヤーとして中心に立ち動いている人たちから実状がわかりはじめてきたのが今。企業もそうですね。つまり、やろうとしていることができる会社とそうでない会社とに目に見えて分かれ始めています。会社の事業ドメインによって強みが発揮できている企業に勝機が集中し始めたと言えるでしょう。

また、転職者の方でも冷静に見極めができてきて、実状がわかり始めてきました。大きな花火を打ち上げていっときニュースをさらった企業の動向であっても、「本当にそうなの?」という視点がもたれるようになりました。膨張するだけしたデジマ業界なので、これからシュリンクしていきあるべき状態になる過程なのかもしれません。

 外部採用コンサルを導入する企業も。人事部全体の中途採用への投資傾向

企業側での変化としては、中途採用にかける人事部全体のリソースが増えた印象があります。新卒も中途も同じ担当グループが進めると、やっぱり人力の部分で取りこぼしも起きるものです。しかし、この中途への強化が見られ始めたのでより堅実な採用活動になってきていると感じます。こうした積極姿勢はたとえば、外部採用コンサルを介入させる企業が増えたことからもわかります。正直、俄然それで動きが良くなった企業もあるほどです。

弊社は現在100社程度の企業様との取引があるのですが、全体の3分の1くらいが、今年になって人事担当が増えたり、また外部コンサルが入ったケースが見受けられました。また年後半は、「中途採用担当」という中途人材の求人も数多く見受けられるようになりました。

こうした現状から、積極採用路線は来年も続いていくものと見ています。より優秀な人材の獲得競争は熾烈になるはずで、企業のなかでもデジタル人材強化の採用シーンも概ね2巡目あたりに入っていきますので、そうなると明確に企業の優劣が出てきます。2018年も引き続き淘汰と再編のニュースが続きそうです。

こうした全体的な再編の波のなかで生き抜いていくには、“会社”の名刺ではなく個人でどれだけ仕事を持ってこられるかが問われていきます。「個の時代」と言われますが、社会に対して還元できる力を個人がつけていくこと、自分に自分の値段をつけられるような布石を多く持っておくことが大切になっていくでしょう。

ガバナンスも企業ブランド力になる時代。真の改革ができるか否かがカギとなる

「働き方改革」は政府・企業・個人にとってますます理想論から離れた実質論へと進むはず。私たちが関連する業界においては、長く黙認されてきた労働環境問題にメスが入った昨年からの動きは、欧米発の「#me too」のアクションからもわかるとおり、個人の発信の場が確立されたことで一方的に黙らせることは許されなくなっています。働く側が主導する真の労働環境改革を促せる組織体制、ガバナンスが今後一層企業のブランド力をも高める時代の到来と言えるでしょう。